靴調整師 渡辺晋仁(わたなべ ゆきひと)

インタビュー記事
きっかけ
渡辺さんは、前職警察官でしたね。そのことと今の仕事につながることはありますか?なにかこの仕事にのめりこむきっかけがありましたか?

そうです。私の前職は警察官をしておりました。その経験が大変役に立っております。
まず、警察の制服すべては支給品で、靴も支給品でした。そのため、サイズを合わせて履いていたのですが、支給された靴が合わず靴下に血をにじませながら働いていました。
でもそのときは、こんなものと思いながら働いていました。
だから普段着のときは、革靴を履くことはなく、スニーカーしか履いていませんでした。
しかし、靴の仕事を始めてから、多職種な方々と学ぶ機会に恵まれました。
私は、まず以前うちに来ていた整形外科靴のドイツ人の方から、インソールの勉強を彼の自宅で学びました。そこでの靴の話は今でも心に響いております。
そして、シューフィッター(足と靴と健康協議会)の勉強をしながら、知り合いの柔道整復師の方々が集まる日本整体協会の勉強会に参加し、並行して、靴のこと、体のことを勉強しました。
すると身体全体の事を考えながら、靴を見るようになりました。
また靴修理の勉強していたとき、多くの靴を拝見していくうちに、靴の減り方の特徴などの原因は、その人の既往歴と歩き方に何かつながりがあるのではないかと思うようになり、インソールを作製する勉強会(現在のフットケアトレーナー)にも参加し、歩行とインソールについての勉強をしたのです。
そして、靴をきれいに修理するのではなく、歩き方を補整できるように靴を修理ように心掛けています。
これまで様々な疑問や壁にぶつかりながら、勉強会でお会いする整形外科医や整体師、鍼灸師、アスレチックトレーナー、理学療法士、靴の師匠などに疑問を投げかけてみました。
そこで、靴のこと、体のこと、歩行のこと、関節の動かし方などの関係性・・・・・本当にいろいろなことを教えられました。
様々な角度(身体のバランス・歩行バランス・靴の特徴)から個人を見て、靴底の減り方を確認、既往歴(体の不調)を推測し、専門家の意見を聞いて証明する、といった繰り返しを続けているうちに、すべての謎がとけていきました。
行き着いた先は、体を改善したければ「姿勢を整えて歩くこと」。
それはもう、確信に近かったです。
理論だけではなく、多くのケースを目の当たりにすることで、余計にすんなり腑に落ちたと言いますか、そんな瞬間がありましたね。目の前がパ~っとひらけたような。
また、歩行動作を見るにあたり、警察官時代のことが役に立っています。
私は、鉄道警察隊や自動車警ら隊などの本部直轄部隊に所属していたときに、「歩行動作から不審者を発見する」といった訓練を受けていたからです。
それは、全体の通行人の流れの中から不審な動きを見つけ出し、犯人を見つける技術です。
これを応用し、個人の歩行動作の中の不審な点を見つけ、そのウィークポントを改善することをすれば、体が寛解すると分かったのです。
経験の活かし方
その技術は、ファミリーのお客様に対し、どのように活かされているのでしょうか。

私は、お客様の抱える悩みを解消するために、最適な靴をお選びするまでのプロセスが社長や店長と異なります!!
私は、お客様の歩行動作を第一に考えて靴をフィッティングしています。
これは、いくら足型計測をして靴をフィッティングしても、関節の動きなど歩行動作によって、靴ズレができるからです。
そのため私は、カウンセリングを重要視しています。
私は、必ずお客様の履いてきた靴を確認し、店内を歩いてもらいます。
そして、購入したお店をお聞きします。
そのうえで例えば、『この靴でこの歩き方なら何処(どこ)何処(どこ)が痛いのではないだろうか』など、推測をします。
またカウンセリング結果から、さらに痛い場所の原因として、どこかをかばっているのではないか?と色々と思いながら、フットプリントと足型計測をおこないます。
そして、その人の特徴(身体・歩行・関節の動きなど)を確認し、最後に足裏のチェックをします。
ちなみにメラノーマらしきものを見つけ、皮膚科の受診を促し、お礼の電話をもらったこともあります。
そこまで時間をかけてから靴選びをするのです。
選んだ靴を履いてもらい、歩いている姿勢をチェックします。
靴は、ただ立っているときにだけ履くものではないですし、人によって足のカタチは千差万別なので、靴を履いてもらって歩くことで、靴とのフィット感や歩幅や歩く姿を確認してから、
その人の歩行をサポートするインソールで微調整をするのです。
しっかりとサポートすることで、全身のバランスを整え、美しい姿勢を保つことができるのです。
最近では歩き方を見れば、痛む場所や原因をかなり推測できるようになりました。
お客様へのメッセージ
では、最後に、お客様へメッセージをお願いできますか。
たくさんのお客様の悩みを聞き、解決するため、私は色々な場所に趣きました。
そこで得た技術や知識を活かし、様々な悩みを解決してきました。
靴屋だけの考え方だけでなく、整形外科靴的の考え方、理学療法士的な考え方など、一つの技術だけの考え方ではなく、様々な分野を考慮し、お客様の個性にあった提案の仕方がこれからは必要だと思います。
いまでは、東京四谷にあります、統合医療の最先端である 小池統合医療クリニックで靴分野担当として活動しています。
・相談したいけど、どこのお店がよいかわからない
・中敷だけ作っても、靴が合っていない
と迷われている方がいらしたら、
どこの店に相談するのではなく、だれに相談するかを一番に考えて下さい。
私は、元々警察官をしていたので、嘘は付きたくないので、これでもかっていうくらい、正直に話します。
また、被害者支援もしていたので、相手の心のケアも充分に理解しておりますので一緒に考えていきましょう。
結びに私から伝えたいことは、「姿勢美人は、足から」です。
姿勢がきれいな人は、若々しくみえませんか?
靴のファミリーでは、姿勢を美しく保つ「一本下駄」が入った靴があります。
そして、私は足だけでなく、全身を見ながら、最適な靴選びと相談内容の寛解を目指しています。
色々とお客様のご要望に沿ってご案内いたしますので、まずはご自身の靴をお持ちになってご相談ください。
お客様のお悩みは、ひとりひとり違い、また目に見えるところだけにあるとは限りません。
上級シューフッィター(トラブル足にも対応)、シニア専門シューフィッターの資格と幼児こどもシューフッィターの資格ももっていますので、大人から子供まで相談可能です。
いまは、こどもの相談も多く、外反母趾、オスグット、巻爪、シンスプリットなどが増えています。
1歳の歩き始めのお子様にもどんな靴がよいかなども相談を受けていますし、部活で足が痛くったといって相談されるケースも多くなっています。
またシニアの方の相談は(外反母趾、変形性膝関節症、腰痛、股関節の痛み、狭窄症、脚調整など)が多く寄せられます。
本当に足は大切です。二足歩行を支える、土台だからです。
しかし、その足を活かすためには、「靴・歩行・身体」が一致していることでいつもでも綺麗な姿勢を保ち、健康に歩けるのです。
また、健康をメインとした靴だけでなく、個性的でお洒落な靴も多くありますので、1度お試しいただきたいと思います。
履くことで、気持ちが楽なる靴もあれば、自分を鼓舞できる靴もあります。
靴を選ぶ楽しみ、履く楽しみを体感していただければと思います。